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外資系転職・英語面接対策

【外資系転職・英語面接対策】 ハーマン・モデルを面接官分析に活用する

投稿日:2019年7月25日 更新日:

目次

性格分類フレームの有用性

どれほど専門的な研究職であったとしても、職務上人との関わりを避けることができません。ビジネスマンは仕事上で難題にぶつかると、ビジネス書・専門書を紐解いて参考となることが書かれていないか調べますが、対人関係の問題となると、一人で悩み続けたり、あるいは無策に近い状態で衝突を繰り返す方々を、非常に多く見かけます。対人的な問題にぶつかったときに有用となるのが、性格を分類するフレームです。エニアグラム、エゴグラム、DISC、等々様々な性格分類のフレームが企業研修等でも使用されていますが、私はそれらの多くは本当に有用だと感じています。

なぜならば、それらを用いると人の行動をある程度予測することができるからです。もちろん一挙手一投足細かく予測できる訳ではありません。しかし、かつてヒューマンアセスメントのアセッサーとして、6ー7人のグループで共同してビジネスケースの企業のビジョン・戦略を策定するというグループワークを観察していた際、彼等のとった行動のほとんどはハーマンモデルから予測し得るもので、驚いたものです。

このツールに習熟すれば、採用面接において面接官の思考タイプが予測できるのみならず、入社後にもパフォーマンスを発揮するために、極めて有用だと考えます。まずは、下記のサイトより自己診断を行い(無料です)、その診断結果を見てみるというのはどうでしょうか?自身の診断結果に納得がいくようであれば、その際は、是非私の説明を助けにしていただき、このフレームの習得に努め、外資系企業の採用面談の突破の一助としていただくことを望みます。

ハーマン診断

ハーマンモデルの概要

ハーマンモデルというのは、米GE(ゼネラル・エレクトリック)の研修部門で働いていたネッド・ハーマンという人物により作られた、思考の好みにより人間を4つのタイプに分けて理解するツールです。「思考の好み」と記述しましたが、より具体的にいうと、ハーマンモデルは右脳と左脳、そして脳の外側(大脳新皮質)と内側(大脳辺縁系)の組み合わせで脳を4つの部分に分け、どの部分を使うことが好きであるかが分かれば、4つのタイプ毎の特徴が明確に把握できます。他にも人をタイプ分けするツールはたくさん存在しますが、他のツールではなく、このツールの習得を皆さまにお勧めするのは以下の理由からです。

①タイプが4つしかなく、単純で覚えやすい。
②しばらくこのツールを通して人間観察をすれば、人がどのタイプに属するか比較的容易に判別できるようになる。
③一度人のタイプを把握すれば、会議中の意見対立等、驚くほど多くの事象の説明がつくし、ある程度予見できるようになる。
④従って人を相手とする職務において、成果を上げやすくなる。面接も然り。

タイプA(論理)

脳のどの部分を使うのを得意とするか

このタイプは左脳の外側(大脳新皮質)を使うことを得意とします。

特徴、キーワード

一言で言えば論理的な人です。具体的には論理には帰納と演繹がありますが、「A→B、B→Cが言えればA→Cと言える」といった詰めていく論理、すなわち演繹を得意とします。また、客観的なデータを重視し、それらを加工し、分析により何がしかの結論を得ようとします。

ユングのタイプ論で相当するタイプ

思考(Thinking)物事を論理的に考えて把握する

見分け方

話を聞いていて「なんか、この人、頭良さそう。話し方が論理的。」と感じたらタイプAである可能性が高いです。また感情を扱うことを苦手とするので、冷たい印象を与えるのも、このタイプの特徴です。

タイプAが苦手とするタイプ

タイプC(感情)の人を苦手とします。ネッド・ハーマンのGEの従業員を対象にハーマン・モデルの分布を測定したところ、国籍による分布の偏りはなかったとのことですが、男女の性差では、男性には若干タイプAが多く、女性には若干タイプCが多かったとのことでした。そのため、夫婦間で妻が「夫が私の話を全然聞いてくれない」という場合、夫の人格に問題がある訳ではなく、タイプA男性とタイプC女性のコミュニケーションの結果として予測される行動の1つにすぎません。

(戦略策定等の)グループワークでの行動パターン

ビジネスケースに財務諸表等の定量データが入っていたりすると、その分析から何がしかの結論を得ようとします。定性的データに対しては、SWOT等の分析フレームを適用して、結論を得ることを好みます。ひらめき型のタイプDと、きっちり管理型のタイプBには一定の理解があるので、対人的な牽引力も備わっていれば、両者のアイデアの良い面を融合させ、グループワークのまとめ役として機能します。一方で、感情型のタイプCの意見は無視しがちなので、軋轢が生じます。

面接官がタイプAだった場合に心がけること

職歴の説明を行う際に注意を要します。「過去にかくかくしかじかの経験があったので、私にはこの仕事が適任だと思います。」といった形で自己アピールすることになると思いますが、その過去の経験と募集しているポジションの関連性が明確でなかったり、そもそも希薄だったりすると、突っ込まれることとなります。タイプAに自分の主張をするときは、かならず「なぜならば(理由、根拠)」を添えるべきですし、その根拠は主張との関連性が高いファクト(客観的事実)でなければなりません

タイプB(管理)

脳のどの部分を使うのを得意とするか

このタイプは左脳の内側(大脳辺縁系)を使うのを得意とします。

特徴、キーワード

一言で言えば非常にきっちりした人です。仕事においては管理行動を得意とし、良く言えば細部にこだわり、悪く言えば「木を見て森を見ず」の傾向があります。情報理解も得意とすることが多く、会議の議事メモを作成するのを得意とします。一方で、奔放なアイデアはこのタイプからは期待できません。

ユングのタイプ論で相当するタイプ

感覚(Sense)五感を使って物事をありのままに受け止める

見分け方

非常に細かいことにこだわります。誤字・脱字はめざとく発見し、実質的な話よりは、物事の形式面を重視します。タイムマネジメントの意識が高く、面談中にもじっくり話を聞くよりは、時計をちらちら見る行動が多く確認できれば、このタイプである可能性が高いといえます。

タイプBが苦手とするタイプ

ヒラメキ型のタイプDを苦手とします。

(戦略策定等の)グループワークでの行動パターン

与えられたビジネスケースに書かれたファクトを大切にしようとします。これを無視して奔放な意見を放つタイプDに対して我慢ができず、非常に多くの場合、タイプBとタイプDの間で意見対立が発生し、時に感情対立にまで至ります。ビジョン・戦略そのものの策定の局面よりは、それをどうやった実行に移すかという場面で、手腕を発揮します。

面接官がタイプBだった場合に心がけること

まずは、とにかくレジュメ上に誤字・脱字等を絶対に残さないことです。英文レジュメの場合は必ずスペルチェックをかけましょう。そして、話してアピールするつもりのことは、可能な限り、レジュメにも書いておきましょう。言ったことと書いてあることの矛盾や、レジュメ上のブランク等、細かいことをつつかれるので、書かれた内容・話す内容の整合性に細心の注意を払いましょう

タイプC(感情)

脳のどの部分を使うのを得意とするか

このタイプは右脳の内側(大脳辺縁系)を使うのを得意とします。

特徴、キーワード

一言で言えば、社交的で人間関係を大切にするタイプです。対面型の営業等の人相手の仕事を得意とし、大きな実績を叩き出す人も少なくありません。何事においても気持ち(感情)を重視するため、全般的に客観性を欠く傾向があります。

ユングのタイプ論で相当するタイプ

感情(Feeling)他人や自分の気持ちを一番大切にする

見分け方

面談や会議のような仕事の場面で、アイスブレークを重視して、場の雰囲気の醸成に長い時間を割こうとしていれば、まずこのタイプの方と判断できます。ただし、人の好き嫌いもはっきりしているため、嫌いな人の前では持ち前の社交性を発揮してくれず、そのような場合は見極めにくい可能性があります。話す内容の論理性が希薄だと感じられたら、このタイプである可能性が高いと言えます。

タイプCが苦手とするタイプ

論理派のタイプAを苦手とします。タイプCは気持ちの話をしたいのに、タイプAは客観的なもの以外は切り捨てる傾向があるため、タイプAを冷たい人と感じます。

(戦略策定等の)グループワークでの行動パターン

事例企業のビジョンの策定においては、組織内のメンバーの心が1つにまとまるようなスローガン的な要素を盛り込もうと主張します。また、自身に余裕がある場合は、ムードメーカーとして、リラックスした雰囲気をグループワークにもたらします。

面接官がタイプCだった場合に心がけること

このタイプの方は本題に入る前のアイスブレークを非常に重視します。人によっては、そのような話題においてこそ、本当の人間性が見えると考えている人もいるので、仕事との関連性が見出せない話題であっても、面接官の方から話題を切り替えない限り、誠心誠意付き合うべきでしょう。また、自分の職歴を説明する際は、常に面接官の表情をチェックし、理解されていないようであれば、平易な説明に切り替える等の工夫が必要です。

タイプD(直観)

脳のどの部分を使うのを得意とするか

このタイプは右脳の外側(大脳新皮質)を使うのを得意とします。

特徴、キーワード

一言で言えばヒラメキ型のタイプで、それをかしこまって言えば良質な仮説を提示できるタイプです。プレゼン等ではアイデアが視覚的に表現されていることを好み、事実が箇条書きに羅列されているタイプの報告を退屈に感じます。能弁なストーリーテラーであることも多い反面、形式的な事項を軽視する側面があります。

ユングのタイプ論で相当するタイプ

直観(Intuition)インスピレーションが強く自由奔放である

見分け方

このタイプと話をしていると、本人の頭の中で突然何かが連想されたのか、唐突に話が飛ぶと感じられることがよくあります。また、話の内容が新奇で興味深いと感じられるとき、このタイプであることが多いです。また、淡々と抑揚なく事実を並べて説明されると、露骨につまらなそうな表情をしたり、集中力を欠いたりします。

タイプDが苦手とするタイプ

きっちり型のタイプBを苦手とします。

(戦略策定等の)グループワークでの行動パターン

ビジネスケースに書かれている事実を、半ば無視に近い形で、自分のアイデアを自由に語りたがります。実現性についてもあまり顧みないため、事実や実現性を大事にするタイプBと激しい意見対立が生じる場合が多いです。

面接官がタイプDだった場合に心がけること

職務経歴書は、会社毎に担当した職務を箇条書きにすることが多いですが、淡々とそれを読み上げているだけだと、面接官は退屈に感じ、つまらない人間と判断されるかもしれません。自分のキャリアに存在する共通性だとか、あるいは関連性が希薄な部分はばっさり切り捨てる等して、メリハリをつけた説明を心がけるべきです。

ハーマンモデルから得られる、他のいくつかの教訓

外資系コンサル会社に転職したい方は、自身もタイプAあるいはBであることが望ましい

私自身フリーランスのITコンサルタントとして複数のプロジェクトに従事していた時期がありましたが、そのような場合、外資系コンサル会社の傘下で働くこともしばしばあったため、外資系コンサル会社のマネジャークラスが面接官となって、面接を受ける場面がしばしばありました。かつては一から独自のシステムを構築する企業が多く、そのような場合アイデアマンのタイプDは重宝されました。しかし、昨今のITの潮流としてはパッケージの導入が主流となり、クリエイティビティはかつてほどコンサルタントに要求されなくなり、結果として私の面接官の外資系コンサルのマネージャーはタイプAかタイプB以外いませんでした。その上のパートナークラスとなると、多少事情は違ってくるのでしょうが、外資系のコンサル会社に転職したいという方は、何の分野のコンサルかにもよりますが、自身もタイプAかBでないと、後々苦労すると思われます。

思考の多様性(Diversity)は良質の結果を生む

会議の参加メンバーが全員同じタイプの人々であったとします。その場合、会議では意見の対立が生じず、すぐに合意が形成されますが、その結論には多様な観点から批判的に検討されていないため、結果の質が低いことが多々あります。一方で、会議の参加メンバーが皆異なるタイプの場合、意見対立が激しく、なかなか合意形成に至りません。しかし、意見対立は良質な結果を導くために不可欠なプロセスですから、対立点を整理し第3の解を導くスキルがメンバーに備わっていれば、苦難の末にグループが導いた合意は良質なものであることが多いです。
ときに、ノーベル物理学賞は二人の学者のペアに授与されることがありますが、そのような場合、1人がタイプAでもう一方がタイプDであることが多いです。タイプDが大胆な仮説を示し、それをタイプAが論理的(数学的に)に検証し鍛え上げるのです。日本でも2008年にノーベル物理学賞受賞者が誕生しましたが、益川敏英教授はタイプDであり、小林誠教授がタイプAであることは、当時のニュース映像を見ていて明らかでした。(南部陽一郎教授については、当時あまりメディア露出がなかったためよくわかりませんが、どちらかといえばタイプD優位な気がします。)

実際のところ、上司は自分と同じタイプの部下を高く評価することが多い

自分と異なる考え方の部下を集め、討議を重ね良質な決断を下すことが理想的ではあるのですが、私の長年の観察に基づきますと、上司は無意識的に同じタイプの部下を高く評価するものです。「今の職場で自分は公平に評価されていないのではないか」という疑念が外資系への転職を促す1つの要因となりますが、明確に数値の結果が出る職種でも無い限り、新しい職場でも評価の公平性は期待できないと考えておおいた方がよいでしょう。そして、その要因を単純明快に説明するのがハーマン・モデルだと思います。
ですから、単に面談を突破するだけではなく、その後のその職場での成功も希望するのであれば、面談中にハーマンモデルを用いて、将来の上司を自分でも逆に評価するという姿勢が大切になります。この上司のもとでは、自身は評価されないだろう、理解されないだろうとの疑念が芽生えたならば、その転職には一歩立ち止まって、慎重に再検討した方がよいと思われます。

外資系転職時の英語面接対策全般に関しては、下記のページをご参照下さい。

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