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外資系転職・英語面接対策

【外資系転職・英語コンピテンシー面接対策】対人面のコンピテンシーを理解する

投稿日:2019年10月27日 更新日:

対人面の主要なコンピテンシー

何度か申し上げてきた通り、私はヒューマンアセッサーとして、1,000人近くの日系上場企業の管理職候補者の演習場面の行動を観察し、数値評価を行なってきました。その経験からすると、コンピテンシーは会社毎にユニークであるというのが一応は建前ですが、どこの会社でもよくお見かけするコンピテンシーというものが存在し、対人面に限定すれば、以下のようなコンピテンシーがポピュラーです。

・リーダーシップ

・交渉力

・組織(チーム)活性化力

・部下育成力

・ネットワーク構築力

上記のコンピテンシーは一見して、マネジャークラスの人材は兼ね備えておくべきものとご理解いただけると思いますし、実際に多くの企業のコンピテンシーとして規定されているものです。一方で、上記のようなコンピテンシーはいわば各々の仕事を完遂するための総合力であり、それらを支える基本的なコンピテンシーが存在することは見過ごされがちです。以下に対人面の基本的なコンピテンシーの要素をみていきます。

対人面のコンピテンシーの基本要素

「理vs 情」と「受容と発信」の2軸で4つに分けて考える

対人面のコンピテンシーの基本要素を理解するには、まず感情とことがら(理)の2つの側面があることを理解することが重要です。そして、そこにコミュニケーションの基本である「発信」と「受容(理解)」の2軸をからめ、2x2の4象限のマトリックスに整理すると分かりやすいと思います。以下に4つの象限につき、説明していきます。

感情の理解(受容)

まず、相手の気持ちを理解するという基本要素があり、これは「対人感受性」と命名されていて、評価対象のコンピテンシーとして切り出されていることもしばしばあります。更に一歩踏み込んで、理解した相手の気持ちに共感するという要素があります。自分の感情に共感してもらえると、本当に自分が理解されていると感じられるのではないでしょうか。

また、感情を理解する対象が個人ではなく、集団となると、「場の空気を読む」と言い表され、「組織感覚」と命名されて評価対象のコンピテンシーに含まれていることも、会社によってはあります。

感情への働きかけ

また、個人ないし集団の感情に働きかけるという基本要素も存在します。4象限のマトリクスで整理してしまうと、「感情理解」と「感情への働きかけ」は並列の関係にある別物のような印象を受けてしまうかもしれませんが、相手の感情を動かすためには、「感情理解」ができていることが前提となっている、という関係が存在します。

例えば、「部下のモチベーションを向上させる」というのは感情への働きかけの一例ですが、部下と上司である自身の動機の源泉の違いに全く気づかぬまま、モチベーションに働きかけようとする上司を非常にしばしば見かけます。部下はお客様に喜んでもらえることでハッピーになる「感謝動機」により動機づけられるタイプである場合、「もう少し営業成績を上げれば社長賞がもらえるぞ」と「承認欲求」に働きかけたとしても、モチベーションの向上という目的にはあまり有効に作用しません。

自分の考え(理)を発信(主張)する

感情論だけでは仕事が進みませんので、対人場面においても「理(客観的事実)」の側面を整理していくことが重要です。まず、自分の考えを相手に分かりやすく、そして高い訴求力をもって説明する能力が求められますが、この要素は「口頭表現力」と呼ばれ、独立の評価項目として切り出されていることもしばしば見受けられます。

外資系のコンサル会社への転職を考えていらっしゃるような方で、この要素に不安を抱えているようであれば、正に口から先に産まれてきたような人ばかりの業界なので、志望の変更を検討することをお勧め致します。

他人の考え(理)を受容する

他人の考えを「理解する」というのは、純粋に情報の理解力の問題であるため、「思考面」の要素とみなされ、「対人面」のコンピテンシーとして評価されることは少ないと思われます。

一方で自分とは異なる考え・価値観に遭遇にした場合に、即座に切り捨てるのではなく、ひとまずは受容するという姿勢が重要です。この要素に対しては「多様性受容」などと命名され、企業経営においてもダイバーシティを重じている企業も多いので、平素より意識されている方も多いのではないかと推測致します。

ちなみに、重要な点ですが、「異なる意見を受容する」というのは自分の意見を捨てることと同義ではありません。お互いの立場・見解の相違を認めた上で、合意に向けて着地点を見出すという段階を踏むこととなります。

主要な対人面のコンピテンシーを、基本要素から考える

コンピテンシー面接の対策という観点に立ち返ると、まずは重要視されていると想定されるコンピテンシーの定義や要素をCompetency Dictionaryで調べた上で、該当する自身の過去の行動を説明できるように事前準備するというのが王道と言えます。しかし、Competencyという概念に馴染みがなかった方は、Competency Dictionaryを読んで理解するというのもなかなか大変、という事情も理解できます。そのような場合は、対人面のコンピテンシーを上記の4つの象限に分解して考えると、比較的すんなりと自身の行動を説明できるのではないかと思われます。以下に対人面の主要なコンピテンシーにつき、簡単に説明します。

組織(チーム)活性化

このコンピテンシーは基本的には、チームメンバーの感情に働きかけることを意味します。ですから、ムードメーカーとして冗談を言うことで、チームにリラックスした雰囲気を醸成させていた、というような行動でも、コンピテンシー面接でアピールすることができます。また、定期的にイベント等を開催してチームメンバーの一体感を高めていた、というような経験も大いに評価されます。

また、「理」の側面からも、会議の場で多様な意見を引き出すという行動もチーム活性化力に関わることで、この技法は「ファシリテーション」と呼ばれ、同テーマの書籍が多数出版されています。ムードメーカー的な得意ではないという方でも、ファシリテーターとしての経験があれば、コンピテンシー面接にてアピールすることが可能です。

部下育成力

まず、「理」の方面からのアプローチとしては、業務に関する必要知識を伝授するティーチングが、1つの重要な要素となります。複雑な業務を経験の少ない後輩等に説明した経験があれば、面接にてアピールできます。また、部下のキャリアビジョンに真剣に向き合うというのも、非常に重要な要素です。本音ベースで語れば部下のキャリアビジョン(WILL)と、自身が統括する部門の職責(MUST)が合致することはなかなか無く、そのような中で一致点を見出すべくキャリアビジョンの相談に乗るというのは、部下育成において非常に重要なことです。

また、感情面からはモチベーションを高めること、すなわち動機付けの経験が求められます。いくつかの企業の部下育成に関わるコンピテンシーを拝見しましたが、動機付けにおいて「個々人に応じた動機付けを行えること」と明記されていることが多いように感じました。これは上司の価値観を一方的に押し付けるような動機付けが求められているのではなく、部下の動機の源泉(感情)をしっかりした上でないと、動機づけを行えないことが周知の事実となっているからです。ですから、コンピテンシー面接にて部下育成の体験をアピールする際は、部下や後輩の感情理解に立脚したものであった点をしっかりと説明することが重要です。

交渉力・折衝力

交渉というものは、基本的には「理」の世界で解決されるべきものです。自身と交渉相手の対立点を明確化し、双方が満足するような解決策を模索するというのは、思考面のコンピテンシーである「問題解決力」とオーバーラップする部分が多くあります。ITプロジェクトにPMとして在籍した経験がある方等は、費用や納期で「理」からアプローチした経験が豊富にあるはずなので、コンピテンシー面接ではそのような体験談をしっかりとアピールしましょう。

一方で、『新・ハーバード流交渉術』という書籍があるのですが、これは感情面に焦点をあてたものとなっています。交渉といえども「理」だけでは押していけないことは、日系企業だけではなく外資系の企業でも周知の事実となっています。したがって、コンピテンシー面接においても、ネガティブな感情を持つ相手とのやりとりへの対処の体験に関する質問等も比較的多く問われます。

対立する相手との自分の今までのアプローチ方法について、過去の経験を整理しておくことを強くお勧めいたします。

リーダーシップ

Indeed等で英語のJob Descriptionを見ていると、コンピテンシーの要件として「リーダーシップ」というワードが非常に多く出てきます。しかし、コンピテンシーというものに造詣が深い企業であれば、「リーダーシップ」というものをコンピテンシーとして定義することは稀です。1つの理由は、リーダーシップという概念の定義は経営学者の数だけあると言われており、学問的にも明確な定義が存在しないからです。2番目の理由は、リーダーシップというコンピテンシーが存在するならば、それは総合力中の総合力といった具合で、人によって発揮の仕方が様々だからです。3番目の理由は、2番目の理由から派生するものですが、人によってリーダーシップの源泉が様々であるため、評価に際して他のコンピテンシーとダブルカウントしてしまうという事情があるからです。

私も本当に様々なタイプのリーダーシップを観察してきましたが、例えば声が小さくぼそぼそと話して何を言っているのか聞き取りづらいという方でも、非常に論理性が高く話す内容の妥当性が高いので、討議の後半になると、その方が話し出すと皆が耳を傾けて傾聴するという状況になっていくのをヒューマンアセスメントの現場で目撃しました。また「腹が据わっている」という表現がありますが、これはコンピテンシーでいうと「ぶれない価値機軸をもっている」ということで「自立性」などと呼ばれています。どっしりとした腹でグループを牽引していくリーダーというのも存在します。また「熱血」でグループを鼓舞するタイプもいますが、これは感情面に作用するものなので、対人面にリーダーシップの源泉をもっていると言えます。

この3つの例を見ただけども、リーダーシップの源泉は思考・対人・資質と非常に多岐に渡るので、ヒューマンアセスメントのような他者評価では他のコンピテンシーとのダブルカウントが生じてしまいますし、コンピテンシー面接のような自己評価では、人によって話す行動がばらばらという事態が生じてしまうので、人材育成に造詣が深い企業は1つのコンピテンシーとして切り出すことはしません。

しかし、コンピテンシー云々の議論には無関心でも、「周囲の人々を巻き込み、1つの目標に向かわしめる」という行動は、どのような人材に対しても求められるので、リーダーシップに関してコンピテンシー面接で問われる可能性は高いと思っておいた方が無難です。準備するに際しては、「自分のリーダーシップの源泉は何であるのか」ということをしっかりと見極めた上で、それをアピールするのに相応しい過去の体験談を事前に整理しておくことを強くお勧めいたします。

転職時の英語面接対策全般については下記の記事をご参照下さい。

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