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「th」の発音の基礎
子音の総論において、「th」は日本語に存在しない数少ない英語特有の子音の1つだと申し上げました。ここで「th」の発音の仕方につき、簡単に説明しておきましょう。
「θ」→ 無声音 代表的な単語はthink, thank, fifth等
上記のように声を出して発する有声音のthと声を出さない無声音のthの2種類がありますが、いずれも下記のプロセスにて発音します。
② 主に上歯と舌の間から空気を出し、その際に出る摩擦音が「th」の音である。
③ 声を出さずに空気だけだせば無声音の「θ」、声も出せば有声音の「ð」となる。
「think」と「sink」を聴き分けられない人々
ところで、皆さんは「think(考える)」と「sink(沈む)」を聴き分けられる自信がありますか?下記のYouTubeで試してみましょう。
Thinkの発音
Sinkの発音
両者で発音が異なるのは冒頭の「s」と「th」の部分だけですが、私があるビジネスマンの方に、口を隠して両者をランダムに言ってみたところ、的中率はかなり低い状況でした。
「s」と「th」を聞き分けられなくても、それほど困らない理由
さて、このビジネスマンの方の英語力はかなり高く、お仕事でも頻繁に英語での会議があり、支障をきたしているような事態は発生していません。
なぜ、両者の聴き分けができなくても困らないかといえば、文脈で「sink」と言いたいのか「think」と言いたいのか推測できるからです。あるいはもっと言ってしまえば、日本人も参加する英語の会議で、特殊な業界でない限り、「sink」という用語が使われることはまずないと思っておけばよいのです。
なぜ、聞き分けできないのか?どうすれば、聞き分けわれるのか?
次に、なぜ、聞き分けができないのかについて考えてみると、「th」の発音は日本語にはない発音なので、区別して認識できる土壌が脳の中にできていないからです。また、中高の教育現場も「区別できなくてよし」と判断したため、「Thank you」に「サンキュー」とルビを振る行為を容認(奨励)し、「th」と「s」はカタカナではサ行でルビを振るという慣行が横行してしまったことも、拍車をかけています。
では、どうすれば聞き分けられるようになるのかと言えば、自分で区別して発音できるようになることが、遠回りに見えますが、確実な唯一の方策と言えます。シャワーのように両者の単語を聞きまくったところで、脳の中に2つを区別して識別する入れ物がない限り、識別は不可能であり、その入れ物を作る唯一の方法は自分でも発音できるようになることなのです。