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ケース面接対策

【外資転職・ケース面接対策】定量データを入手する2つの目的

投稿日:2020年3月1日 更新日:

当記事は主に、採用面接においてケース面接が導入されている企業(戦略系コンサル、一部のGAFA系)への転職を検討している方への参考情報として書いていますが、ここで記述している「問題解決」の考え方はどの企業で働く方にとっても重要な情報と考えています。何かのご縁で当サイトにご来訪された方は、お時間があれば、是非ご一読下さい。

定量データを入手する2つの目的

ケース面接対策の書籍としては、Victor Cheng氏とMarc Cosentino氏による2冊が有名です。どちらの書籍でも、P/L(損益計算書)を「売上 − (変動費 + 固定費)」に分解するフレームワークが記載されており、面接官から定量・定性情報を聞き出す質問等が紹介されています。

ケース面接において、定量データを活用する目的は2つあるのですが、本をざっと通読しただけでははっきりと分からないかもしれません。ケース面接は経営コンサルティングの現場のシミュレーションでもあるので、マネジメントの現場においても、定量データは2つの目的で使用されます。その2つとは、以下の通りです。

  • 問題発見のため
  • 仮説の検証のため

上記について、少し詳しく見ていきましょう。

問題発見のための定量データの活用

まず、ケース面接というのは、問題解決という思考面のコンピテンシーのレベルを見極めるための、面接手法の1つと言えます。そして問題解決というコンピテンシーは、以下の3つの段階に分解されます。

  • 問題発見
  • 原因分析
  • 解決策策定

ケース面接では基本的には時間内に上記の3つのステップを終えることで、問題解決というコンピテンシーが、コンサルティング会社で活躍するに十分なレベルであることを自ら証明せねばなりません。

ここで、まず「問題とは何か」ということをしっかりと理解しておくと、ケース面接で求められている事項がすっきりと理解できます。私の趣味で悪戯に哲学めいたことを言っている訳ではなく、「問題とは何か」という問いは、問題解決をテーマとした企業研修で、必ず最初に叩き込まれる事項です。

問題とは「あるべき姿」と「現状」の乖離である。

さて、上記に早々と結論を示しましたが、問題とは「あるべき姿(To-Be)」と「現状(As-Is)」との乖離と定義されます。問題はできるかぎり客観的に把握することが望まれますが、企業の目的は利潤追求にあるので、現状のP/L(損益計算書)とあるべきP/Lを比較することにより、問題の所在を極めて簡単に、明確化することが可能となります。ケース面接の場合に問題となるのは、「あるべきP/L」とは何であるかということです。

第一候補:予算値

Victor Cheng氏の著作では、予算のP/Lについては一切触れられていません。学部新卒生にとって、「予算のP/L」というのはあまりに実務的すぎて、そこまで立ち入ることは求められていないのかもしれません。しかし、数年の業務経験を経て経営コンサル会社への転職を志望している方は、一応頭に入れておくべき知識だと思われますので、簡単に解説しておきます。

まず、実績のP/Lは予算のP/Lと比較することで、はじめて問題が明確になります。というのも、例えば10店舗の新規出店を行った小売業者の実績の売上が、前年と全く同じ値であったら、新規出店により期待された売上増が一切なかったということになり、明らかに問題ということがお分かりいただけると思います。前年度と異なる諸条件を織り込んで予算は作成されるので、実務的にはP/Lの予算と実績を比較することにより、問題の所在を明確化するのだということを、覚えておいて下さい。

第二候補:対前年比

Victor Cheng氏の著作では、過去3ヶ年分くらいの実績値を聞き出すことが推奨されていますが、過去の実績と直近の実績を比較することにより、問題の所在を明確化することが目的です。この点については、どのケース対策本・講座でも触れられる基本なので、皆さんご存知のことと思います。

一点だけ、注意点を申し上げておくと、あまりケース面接のお題では登場しないようですが、「月次」のP/Lを過去のものと比較するときは、「対前月」ではなく、「対前年同月」の比較を行うことが重要です。なぜかといえば、小売業で考えれば分かりやすいですが、「5月の連休やクリスマス前は売上が大きくなる」といった季節性(Seasonality)が存在するためです。

第三候補:対競合

競合のP/Lを入手することについても、Victor Cheng氏の著作で触れられているので、経営コンサルの採用面接対策を行なっている方には、常識的な内容と言えると思います。一点、付言しておくと、他社との比較においては、数字の絶対値よりも割合の比較を行うことが重要です。例えば、競合A社の売上高が前年より1億円増加で、当社の売上高は前年より2億円増加している場合、一見すると当社は好調に見えますが、前年からの増加率がA社は30%増で、当社は10%増だった場合、マーケットシェアが低下している可能性があります。

仮説の検証のためのデータ活用

原因分析は定性情報により行う

さて、P/Lを活用し、適切に問題発見ができたならば、その原因を探る段階に入ります。ケース面接においては、原因に関わる情報は定性情報として示されることが多いです。全て数字で原因分析ができるようなケースを作成するのは、ケースを準備する方も大変ですし、また、数値だけでしか問題解決を行い得ないような人を、経営コンサルタントとして採用したくない、という事情もあります。一般的なビジネスにおいても、P/Lが予算値と乖離していた場合、当該部門の担当者にヒアリングを行いますので、ケース面接はビジネスの現場に近いものになっているといえます。

定性情報も原因の「仮説」に過ぎない

原因を探る過程で得られた定性情報は「仮説」に過ぎないので、その仮説をサポートする定量データを入手しておきたいところです。というのも担当者へのヒアリングにより入手される情報は、担当者の思い違いであったり、また大規模な組織においては、パフォーマンスの不振を隠蔽するために誤情報が流されたりもします。仮説の検証のために定量データを入手する、というのはケース面接でも実際のマネジメントでも非常に重要な行為なのです。

ミニケース:ディスカウント酒販店の売上がぱっとしない原因は?

ここで、大昔に私が中小企業診断士としてディスカウント酒販店のコンサルティングを行なったときのお話をしたいと思います。小規模なデイスカウント酒販店のオーナーが言うには、「最近売上と利益がぱっとしないので原因を調べてほしい」とのことでした。その店舗に向かう際に、数百メートルの近隣にドン・キホーテを見かけ、数ヶ月前に開店したことを知っていたので、「ドン・キホーテの影響でしょうか?」と尋ねたところ、このような回答が返ってきました。

「ドン・キホーテは私も視察してきたが、価格の面で競争力がなく、当店と全く勝負にならず、当店の競合とはなっていない。それよりも、距離的にもう少し遠いところにある、他のディスカウント酒販店に客を奪われているのではないかと考えている。」

どちらの仮説がより正しいと言えるのか、これはいとも容易く検証できました。月次の客単価と客数の推移表のデータがあったからです。ここで、小売業で「売上高=客数 ×  客単価」と分解できることは、新卒者であっても覚えておいた方がよいかもしれません。単純に数字の表を眺めているだけでは分からないのですが、客数と客単価を前年同月の値と比べてみると、答えは一目瞭然でした。ドン・キホーテがオープンした月から、客数は前年同月比で継続的に10%下落していたのに対し、客単価の方は大きな変化が見られなかったからです。

仮説の検証のためには、P/Lよりも粒度が細かいデータを入手することが有用

さて、上記のミニケースをより一般化すると、売上がぱっとしない原因として、2つの仮説(ドン・キホーテに奪われた、他の競合に奪われた)が提示された訳ですが、その検証のためには、P/Lよりももう少し粒度(Granularity)の細かいデータを入手することが有用です。この設例では、売上を客数と客単価に分解することで、仮説の検証を行うことができました。また、多くのケース面接では、セグメントに細分化されたP/L情報が用意されているので、それを引き出す質問を投げかけることが不可欠です。

論理学的な視点からの考察(後件肯定の誤謬・仮説演繹法)

少し、論理学的な観点から、先ほどのケースを検証してみましょう。これも悪戯に趣味で行うのではなく、Victor Cheng氏の著作でも、フレームワークと同時にクリティカルシンキングの思考を併用する重要さが指摘されています。コンサルティング会社では、ケース面接に進む前の筆記試験にてGMATのクリティカルシンキングを課す企業が多いようですが、そこで、これから説明する後件肯定の誤謬自体は知っておく必要がある概念です。仮説演繹法はGMATにはやや難しい気がしますが、自身が使っているロジックは何であるかを知っておくことは重要です。

さて、ディスカウント酒販店のコンサルを実施した際の、私の思考プロセスは以下のようなものでした。

  • もし、ドン・キホーテに客を奪われているならば、ドン・キ・ホーテがオープンした月以降の客数が減少しているはずだ。
  • ドン・キホーテがオープンした月以降の客数は減少している。
  • したがって、ドン・キホーテに客を奪われている。

これを、論理学的に記号を使って一般化して書くと、以下のようになります。

もし P ならば、Q である。
Q である。
したがって P である。
引用元: Wikipedia 後件肯定

実は、この形式の推論は、100%の確実さが要求される「演繹」の論理の世界では、後件肯定の誤謬と呼ばれ、誤りとされています。例えば、以下の設例を見れば、明らかかと思います。

私はインフルエンザにかかっているとき、ノドが痛くなる。
今、私はノドが痛い。
だから私はインフルエンザにかかっている。
引用元: Wikipedia 後件肯定

「ノドが痛くなる」のは、インフルエンザに限った話ではなく(新型コロナウィルス等の可能性もあり)、「ノドが痛いからインフルエンザにかかっている」とするのは100%正しいロジックとは言えません。「演繹」は100%正しい論理でないと認められないのです。

では、私のディスカウント酒販店の設例はロジカルではないのかと言うと、そうではなく、実は仮説演繹法という「帰納」の手法を用いています。仮説演繹法の説明は以下に引用致します。

例えば、ダーウィンの進化論はこの方法に基づいて提唱された。 手順としては、まず収集したデータをもとに帰納法を用いて、現象をうまく説明できそうな仮説を立てる。この仮説は法則を表す命題や公式の形をとる。次に、仮説を検証するため、演繹法を用いてこの仮説を具体的事例に当てはめ、「仮説が正しければこうなるはずだ」といった結果を予測する。最後に、実験や観察を行い、予測を裏づけるデータが得られれば仮説は正しいとされる。 なお、仮説演繹法では最後の予測を検証するプロセスが帰納法となっている。そのため、検証結果が予測通りであったとしても仮説は確からしいというレベルに留まる。
引用元: コトバンク 仮説演繹法

少し説明が長いかもしれないので、仮説演繹法のエッセンスの部分を以下に抜書きしましょう。

  • まず、仮説が正しければこうなるはずだと、結果を予測する。
  • 予測を裏付けるデータが得られれば、その仮説は、「より確からしい(蓋然性が高まる)」と言うことができる。

話をケース面接に戻すと、定性情報として得られた仮説から予測されるデータが得られたとすると、それは仮説を100%正しいと証明するものではないものの、仮説がより確からしいことを示す証拠となり、したがって仮説をサポートする定量データを入手することは、論理学的に考えても非常に有意義な営みであるといえます。

最後に、コトバンクの引用文で使用されているダーウィン進化論に対して述べておくと、様々な学者の努力により入手されたデータにより、ダーウィン進化論は「より確からしい仮説」として教科書でも教えられてきましたが、現在では様々な疑問が専門家から投げかけられており、「より確からしい」けれども「100%正しい」仮説ではないということを理解しておく必要があります。

 

 

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